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一家に一台のファーストカー |
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先代ヴィッツもたくさんの兄弟車がいたが、とうとう新生ヴィッツにも、兄弟が誕生することとなった。その名はラクティス。ファンカーゴの後継車と言えば、わかりやすいだろうか。しかしラクティスは、単なる後継車として誕生したワケではない。それはスタイリングを見てもあきらかだ。
ファンカーゴは、男性には少々抵抗もあるくらいの可愛らしいキュートなスタイリング。お部屋感覚をクルマにそのまま持ち込めるといったコンセプトで登場した。
ところがラクティスの目指すところは、男性が乗っても恥ずかしくないスタイリッシュなコンパクト2BOX。コンセプトも、大人4人が快適に乗れて、なおかつ荷物も積めるという、一家に一台のファーストカーなのである。
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ベースとなったヴィッツよりも全長200mm、全高120mmとひと回り大きいボディは、ホイールベースも90mm伸ばされ、容積的には+10%のゆとりある室内空間を実現しているのだ。
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個性的なインテリア |
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ラクティスが、ナンバー1プライオリティとして特徴づけられたのは、フェンダーからAピラーに続くモノフォルムデザイン。これによって、新しい室内空間が生まれることとなった。まず特徴的なのは、インパネだろう。センターメーターではなく、ステアリングの上部にメーターが据えられている。これは、窓下の位置が上前に出されたエクステリアデザインのおかげで、その部分に空間ができたから。ポジション的にも問題なく、視認性のよい位置に収まっていて、なんとなくミニバンを思わせる空間なのだ。
さて、ファンカーゴと言えば、シートアレンジがポイントだったが、ラクティスは後席の足元部分が掘り下げられ、ファンカーゴよりも背は低いものの、室内の有効上下高が増やされ容積も1〜2割向上している。
後席は男性ならばラクラク後ろ側からワンアクションで畳むことができるなど、アレンジ性もさらに向上。身長179cmの人が運転席に座ったポジションでも、前席を前に出さずとも、操作できるのも便利だ。そのぶん、前席よりはシートは小ぶりだし、クッションの厚みも薄いが、ロングドライブでも不満の声が出ないギリギリの妥協点で設定されたとのことだ。
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1.5Lエンジンに CVT+パドルシフト |
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ラクティスの目玉はなんといっても、1.5Lエンジンに組み合わされたCVT+パドルシフトだろう。このCVT+パドルという組み合わせはトヨタ初である。パドルの採用だって、トヨタでは他にはレクサスISくらいしかないのだから。
実際このCVT、基本はヴィッツと同じだというがかなり進化している。CVTが苦手とする、アクセルのパーシャル領域からのチョコッとしたペダル操作でも違和感がまったくなくなったのだ。パドルの操作性も位置、フィーリング的に文句ナシである。
そしてこれがまた使いたくなるような走り味を見せてくれるのだ。ヴィッツに比べるとタイヤがひと転がりしただけで、重厚感のようなものが違うと感じてはいたのだが、コーナーなどでも踏ん張り感を見せてくれて、終始安定している。ステアフィールも据え切り以外は不快感もなく、非常にナチュラルにまとまっている。
ただしひとつ、静粛性だけはいただけない。ヴィッツよりもさらに音が入ってくるので、一家に1台の毎日出動するファーストカーならば、この部分だけはなんとか対処してもらいたいところだ。
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豪華装備がいろいろと用意 |
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ラクティスはとにかく豪華装備がいろいろと用意されている。1.5Lモデルには、全車標準装備で、チルト&テレスコピック機構付き本革巻きステアリング、本革巻きノブ、クルーズコントロールが付いてくるのだ。このクラスでクルーズコントロールなんて?と思ったが、使ってみるとコレが意外と便利だったりする。
さらに、Lパッケージを選択すると、スマートエントリー&スタートシステム(カギをポケットやバッグに入れたままで、キーの開閉からプッシュスタートまでできる)、オートエアコン、花粉除去モード(顔周りの花粉を飛ばし、15分で車内の花粉をなくしてくれる)、プラズマクラスター、オーディオ、イモビライザーまでが付いてくる。今までのコンパクトカーにはちょっとあり得ないような、快適装備である。
さらに、最近流行りのパノラマルーフ仕様まで選択できるのだ。重さは27kgほどあるが、前席のかなり前までガラスが回りこんでいるので、開放感はいっぱいだ。
コンパクトカーもここまでおもてなし装備が進んだかと感心したが、できればシートリフターなどはエントリーモデルの1.3Lへも装着を望みたい。 |