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各方面に影響を与えた初代ロードスター |
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ロードスターの初代モデルがデビューしたのは平成元年。この年のシカゴシ ョーにMX-5ミアータの名前で登場したのが最初だった。デビューしたときには外観デザインがロータス・エランに似すぎているなどとも言われたが、軽量コンパクトなフルオープンのライトウエイトスポーツカーはその当時にはなく、世界中のユーザーから圧倒的な支持で迎えられた。
少し遅れてユーノスロードスターの名前で発売された日本でも、発売当初から 大量の受注残を抱えるような売れ行きで、オープンカーとしては信じられないような月に数千台の売れ行きを記録した。その後、累計で70万台を超える販売を記録し、世界で最も良く売れたスポーツカーとしてギネスブックにも掲載されてい
る。
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こうしたロードスターの大ヒットを受け、世界中の自動車メーカーがオープン スポーツ作りに取り組んだ。メルセデス・ベンツSLK、BMWのZ3、ポルシェ・ボクスター、ローバーのMG-F、フィアット・バルケッタなどは、ロードスターがあっ
たらこそ生まれたクルマといっても過言ではない。
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余裕のつくりになった3代目ロードスター |
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3代目となった新型ロードスターのデザインは、リトラクタブルヘッドライトこそ採用していないが、初代モデル以来の伝統を受け継ぎ、ひと目でロードス ターと分かるデザインとなった。張り出したオーバーフェンダーが強調される点などはRX-8にも共通するイメージだが、全体に虚飾を排して控えめなデザインと
したのは、個々のユーザーの自由なドレスアップの余地を残したものともいえる。
インテリア回りの雰囲気は完全にロードスターのもの。タイトな感覚のコクピット空間はいかにもスポーツ心をそそるものだ。クロームのリングをあしらった メーターやヒール&トゥーをしやすいペダル配置などなど、初代ロードスター以来の伝統を受け継ぐものとなっている。
ボディサイズは衝突安全への対応などもあってやや大きくなった。全幅が25mm拡大して3ナンバー車になったが、これはやむを得ない範囲。軽量コンパクトなライトウエイトスポーツであることは変わらない。
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MTもATも走りは軽快 |
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ロードスターを走らせてすぐに感じるのは軽快なハンドリングだ。ステアリングホイールをわずかに動かすだけですっと向きを変える敏感さは、とても軽快な印象である。ハワイで北米仕様車に試乗したときには、それが敏感すぎるようなシーンもしばしば感じられたが、日本仕様車ではそうした敏感すぎる感じはなくなり、操舵に応じて確実に向きを変えるフィールに変わっている。
搭載エンジンは2.0Lに排気量アップされた。これによるパワー&トルクの増大は確実にロードスターのスポーティさを高めているが、むやみにパワーが勝ちすぎた感じになっていないのはシャシー性能も大きく向上しているからだ。
エンジンのフィールも実に良い。7000回転から始まるレッドゾーン近くの高回転域まで一気に吹き上がっていくフィールは、自然吸気エンジンならでのものでとても気持ちが良い。同時に排気量の拡大によって中低速域のトルクも太くなっ
ているので、扱いやすさも感じさせるエンジンである。ロードスターなら当然6速MTで走るのだろうが、6速ATのデキが良いことも見逃せない。
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3代目ロードスターの楽しみは誰もが味わえる |
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ロードスターは初代モデルで“人馬一体”というコンセプトを打ち出したが、今回のモデルでも初代モデルに立ち返って、人とクルマとが一体になって走ることの楽しさを表現しようとした。結果としてそれに見事に成功したといえるだろう。
私も初代モデルがデビューした当初から3年近くロードスター所有していたが、 その間に運転することの楽しさをロードスターから教えられた。その当時に感じたような独特の雰囲気が今回のロードスターにもある。
ロードスターを買うならスポーティな仕様を施したRSが主要なターゲットになる。本革シートを備えるなどしたVSはラグジュアリー志向のユーザーにお勧め。リタイアした後の年配のユーザーなどに似合うグレードだ。ベースのロードスターも決して悪くはないが、MT車が5速になるほか、選択できないオプションも多いなど、現実的なグレードではない。
なお、AT車は全車が6速となるほか、相当にデキの良いATなので、これは案外見逃せない存在。AT限定免許の人でも本当に楽しめるクルマだ。 |