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ラグジュアリーセダンをベースにしたスーパースポーツモデル |
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キャデラックといえば、アメリカ車のなかでも高級車というイメージがある。しかし、アメリカではより多くのユーザーにアピールするために、レース活動に力を注いでいることは、日本ではあまり知られていない。かつてはル・マン24時間レースにワークスのレーシングカーを送りこんだりしている。今でもセダンレースにはファクトリーチームを出している。
STS-Vはそのレーシングチームのイメージを生産車に移植したモデルとして登場した。ノーマルのアッパーミドルセダンであるSTSをベースに、エンジンはV8、4.6Lから4.4L+スーパーチャージャーを搭載、サスペンションやブレーキを強化し、性能を向上させている。
最近、アメリカではこのSTS-Vのように、ラグジュアリーセダンをベースにしたスーパースポーツモデルが流行しているのだ。
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パワフルでゴージャスなVシリーズ |
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STSの4ドアセダンという基本シルエットは共通だが、Vシリーズらしいパワーを象徴するようなデザインを随所に採り入れている。まず目につくのはフロントグリルだ。ステンレス製のワイヤー・メッシュ・グリルをバンパーの上下に採用。とくにバンパー下のスカート部分は、空力性能を重視した形状になり、フォグランプ下にはフロントのブレーキ冷却用ダクトも開けられている。
ボンネットもノーマルよりも一段盛り上がった形状で、パワフルさを演出している。サイドからリアにかけても空力性能を向上させるデザインだ。
「SUPERCHARGED」のロゴが入るフロントドアとトランクには、Vシリーズのエンブレムが輝く。
インテリアはシート中央部にスエード革を使用し、アルミニウム製のアクセントとうす茶系のウッドパネルが専用デザインだ。レザー表皮はすべて手作業による仕上げというのもVシリーズの特徴だ。
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アメリカンV8ユニット特有の重厚感 |
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4.4Lスーパーチャージャー付エンジンは446馬力、60.8kg-mの性能だ。ノーマルの4.6Lよりも実に122馬力、18.0kg-mも強力になっている。ミッションもノーマルの5速ATから最新の6速ATに変えられた。
Dレンジにシフトして、加速性能をテストする。アメリカンV8ユニット特有のドッドッドッという低音のビートが効き、周期的な振動を体に感じながら、アクセルを踏みこむ。エンジン回転計の針が6000回転まで一気に上昇し、シフトアップ。100km/hまでは6秒で到達した。これはヨーロッパのチューンドセダンと好勝負。STS-Vのほうが力強さと迫力がある。重厚感もある。それでいながら速いのだ。トルクは2000回転から立ち上がるが、スーパーチャージャーの盛り上がりはない。全域でトルクフルなのだ。
ハンドリングはクイックな動きでの回頭性の俊敏さが、レーシングカーのよう。4輪ベンチレーテッドディスクのブレンボ製ブレーキも強烈だ。
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おすすめしたいアメリカンスポーツセダン |
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アメリカ車のスポーツセダンに乗ると、強烈な加速、大パワー、大トルクというスペックを楽しむこともできるし、その一方で低回転での運転や町中での走行でも、まったく扱いにくいところがないことに驚く。STS-Vもそうだったが、突き上げはなく、タイヤのザラつきが伝わってくるレベルだった。
もちろん4ドアセダンなので、リアシートの居住性もよく、トランクスペースもノーマルのセダンと同じレベルの広さは確保されている。
車両価格は977万円と、決して安くはないが、ヨーロッパのチューンドセダン(AMG、アルピナ、アウディSシリーズ)と比較しても十分に戦えるレベルだ。
これ見よがしのスポーツセダンは、人目もあり、ちょっと恥ずかしい、というクルマ好きの人は、一度アメリカンスポーツセダンに目を向けてみることをすすめたい。
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主要諸元 |
STS-V |
全長×全幅×全高(mm) |
5020×1845×1465
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ホイールベース (mm) |
2955 |
車両重量(kg) |
1990 |
エンジン種類 |
水冷V型8気筒 |
総排気量 (cc) |
4370 |
最高出力(SAE NET)
(kW[ps]/rpm) |
328(446)/6,400 |
最大トルク(SAE NET)
(N・m[kg-m]/rpm) |
596(60.8)/3,600 |
燃料タンク容量(L) |
66 |
サスペンション(F/R) |
ダブルウィッシュボーン/マルチリンク |
主ブレーキ |
ベンチレーテッド ディスク |
タイヤサイズ(F/R) |
(F)255/45R18 (R)275/40R19 |
価格(万円)※消費税込 |
977.0 |
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