日産 フェアレディZ 新型車解説
新型のキーワードは”ジャンプ”
このZ34で最もリファインされたところ、それは走りの性能だ。”ジャンプ”をテーマに掲げる日産のエンジニアたちが心血を注いだことがあちこちから感じ取れる。
まずは走りの性能を根幹で支えるシャシー。燃料タンクを新設し、ホイールベースを先代から100mm短縮してハンドリング性能を高めた。サイドプロポーションに凝縮感があるのはそのためだ。
ガソリンの容量は減ったが、燃費の改善により航続距離は維持したという。先代の登場から6年が経過しているため、現代のクルマとして安全性の強化や剛性を高めるために新型Zは100kgの重量増が見込まれていた。しかしアルミ材の使用によってそれを相殺したという。小さくなったボディに重量を増さず、最新の装備を得たという訳だ。
新型Zの心臓として搭載されるのはVQ37VHR型エンジン。名器VQ35HR型に対し、約35%の部品が新規開発されている。吸気抵抗の低減と空気吸入の応答性を向上させるVVEL(バルブ作動角・リフト量連続可変システム)を採用したこのエンジンは336psを発揮。さらに 2,400〜7,000rpmで最大トルクの90%を発揮し、低速での扱いやすさとスポーティドライビング時の応答性を両立させた。
そして今回“走りを楽しむ”ために搭載された技術が「MTシンクロレブコントロール」。シフトダウン時の回転あわせを、何とクルマ側が行うという機能だ。シフトノブの根本に設置されたセンサーがドライバーのシフトチェンジを予測し、エンジンの回転を合わせてくれる。熟練ドライバーのヒール&トゥ操作よりも素早くエンジン回転がセットされるため、MTに慣れていないほど最初は戸惑うかも知れないが、慣れれば実に心地良いシステムだった。 「シフトダウンは機械に頼らず自分でやるんだ!」という硬派な(?)向きには、シンクロレブコントロールOFFもボタンひとつで簡単に選べるのでご心配なく。先代に比べてペダル配置がオルガン式に変わり、ヒール&トゥが格段に行いやすくなったことも記しておきたい。こんな機能が付いたのも、廃れていく3ペダル MTをもっと楽しんでもらいたいというエンジニアたちの思いからだ。
ATモデルには新開発のマニュアルモード付き7速ATトランスミッションが組み合わせられる。ほぼ全域でロックアップを作動させ、加速時のダイレクト感を追求した。操作タッチの心地よいアルミ削り出しのパドルで、新型フェアレディZを操ってみたくなる。