ジャガー XFR 海外試乗レポート
スポーツモードを選んでも驚くほどコンフォート
Eデフのコントロール特性を、サーキットのウエット路面とドライ路面の両方で試すことができた。ステアリングをフルロック状態まで切ってアクセルを全開にするのだが、ものの見事にアンダーやオーバーステアーを封じ込めて曲がり始める。いわゆる、横滑り防止装置やアクティブサスペンション、さらにはトラクションコントロールと協調してコーナーリングさせるのだが、特にトラクションコントロールと横滑り防止装置に頼りすぎないでクルマを安定させているところには感心する。要するに、LSDの長所と通常のデフの長所を上手に使い分けてくれるのだ。さて、510psはやはり力強い。2,500〜5,500rpmの広範囲で625Nmの最大トルクを発生させるので、低回転域からモリモリ加速する。また、スーパーチャージャー特有のヒューン!という音がほとんど押さえ込まれていて、NAエンジンに乗っているような感覚だ。
サスペンションは、アダプティブダイナミクスと呼ばれる可変ダンパーシステム。これにアクティブ・デファレンシャル・コントロールが協調して、どのような状況でも極度なハンドリングの変化を和らげてくれる。20インチの扁平幅広タイヤを履いているのに、いわゆるスポーツモードのダイナミックをチョイスしても、驚くほど乗り心地が良い。かといって、足はかなり締まっている。なのに、ボディ振動や突き上げ感がない上品な乗り心地なのだ。ハンドリングのスポーツ度とキャビンのコンフォート性が、これほど両立しているクルマも珍しいだろう。