「セダンのマーケットは、今後も縮小されてしまうのでしょうか?」。ティアナの商品企画に携わった岡本智さんに、こう質問された。環境が重要視される時代の中で“大きいクルマは悪”というイメージが膨らんでいる。セダンに限らず、排気量の大きいクルマは苦戦を強いられることになるだろう。Lクラスセダンのティアナも然りだ。けれども、コンパクトカー軍団に頂点の地位は譲ったにしても、セダンが完全な衰退をたどるとは思わない。家族構成や生活スタイルの変化とともに、必ずセダンに回帰する人たちがいるはずだからだ。
あらためてセダンに乗ると、剛性感のある、しっとりとした乗り味に目が覚める。流行に左右されることのない、普遍のセダンらしさが魅力的に感じられるのだ。ティアナに初めて触れたとき、アクティブに仕事をしている女性に似合うセダンだと思った。
ローレルとセフィーロを統合。名目上はこの2台の後継車にあたるが、ティアナはまったく新しいLクラスセダンとして開発された。ネイティブアメリカンの言葉で“夜明け”を意味するティアラという車名は、新しいLクラスセダンの時代の幕開けをも担っている。
ドライビング志向のスカイラインに対して、ティアナは40〜50代をターゲットユーザーとする高級志向を前面に出して いる。購入優先度の第1位が高級感であり、第2位がデザインというマーケティングによるものだ。
なおかつ、ローレルユーザーが不満 に 思っている居住空間の狭さと取り回しの悪さ、 セフィーロユーザーが気になってい るインテリアの質感に力が注がれた。さらに社会的なトレンドが盛り込まれる。
こうして生まれたのが、洗練された大人のための高級セダンティアナである。ライバルはトヨタのマークII。「同じ予算でワンランク上のサルーンに乗れる」ことも日産が主張する大きな魅力のひとつだ。
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