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Text/西沢ひろみ Photo/原田淳
 
 
 手頃な価格とスペースユーティリティを掲げて、デミオがコンパクトカークラスの市場を築いたのは96年のこと。それまでは、リッターカークラスと呼ばれる小さなジャンルだったが、急激にマーケットは拡大していく。当時は、地球環境が大きく取り上げられ始めた頃で、小さなクルマの価値観も急上昇を遂げていた。

 時代の流れを築いたのは、ヴィッツ/ファンカーゴの誕生だ。国内だけでなく、欧州においてもコンパクトカークラスの大ブレイクが訪れる。そして月販2万台という驚異の販売台数を達成したフィットの登場で、コンパクトカークラスはますます激戦区と化していった。  雨後のタケノコのように、欧州車や国産車のコンパクトカーのニューモデルがデビューする中、三菱はおそらく満を持していたのだろう。ついに本格参入を果たすことになる。新型車の発表は02年11月11日、ネーミングは「コルト」だ。しかもこのコンパクトカーは、ダイムラー・クライスラー社とプラットフォームを共有する最初のクルマであり、三菱にとって新しいデザイン・アイデンティティを具現化した最初のクルマ。つまり、三菱が総力をあげて取り組んだクルマなのだ。

 三菱の意気込みは「コルト」の名前からも伝わってくる。62年に発表された「コルト600」から始まり、70年登場の「コルトギャランGTO」まで引き継がれた「仔馬」という意味の「コルト」は、日本初というさまざまな技術に取り組み、日本のモータリゼーションの親展に多大な貢献をした三菱のクルマ作りの原点ともいえる車名なのだ。

 さて21世紀のコルトは、"ときめきと自由のコンパクト" を開発コンセプトに、ワンモーションフォルムのスタイルを採用。ちょっとゼイタクなクオリティを注ぎ、バランスのとれた性能を実現している。 目を引くのは、内外装や装備が選べるカスタマーフリーチョイスの導入。従来のグレード別に構成されていた装備や仕様の制約を一切なくして、すべてを自由に選択できるというシステムだ。具体的には、3つの推奨パッケージを基本にボディカラー、外観から内装色、シート形状、各種装備を追加したり、削除したりできる。ライフスタイルに合わせたり、ユーザーの好みに限りなく反映させるだけでなく、コストダウンも図られる画期的なシステムといっていい。
 
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