ボルボ V50 試乗レポート
デュアルクラッチトランスミッションはブームなのか!?
新開発の2.0Lエンジンは可変バルブタイミング機構付きの自然吸気DOHC。動力性能は107kW(145ps)/185N・mだから、2.0Lエンジンとしては平均的な実力で、際立ってパワフルなエンジンではない。ボルボはかつて直列4気筒の2.0Lエンジンをラインナップしていた時代があったが、最近では直列5気筒2.4Lエンジンを中心にしたラインナップになっていた。今回は日本市場のボリュームゾーンに向けて改めて2.0Lエンジンを投入してきた。エンジンの実力は平凡ながら、6速パワーシフトと呼ぶ新開発のトランスミッションと組み合わされた点が目新しい。これはVWがDSGと呼んでいるものと同じで、2ペダルで乗れるマニュアル。変速時にパワーを途切れさせることなく伝えることができるため、最近ではヨーロッパメーカー各社で採用が広がっている新世代のトランスミッションだ。
エンジンとトランスミッションを合わせた新しいパワートレーンはとてもデキが良い。VWのDSGに対してやや遅れて登場してきただけあって、DSGの持つ不満点を解消する形で登場してきた。
まず発進時に力強いクリープがある。ヘタなトルクコンバーター付きATと比べてもより力強い印象があり、ちょっとした坂道でも後退することがない。これならヒルホルダー付きでなくても大丈夫だし、その気になれば左足ブレーキも使えるので上り坂での発進が容易だ。
それ以上に良かったのが発進時や低速時のギクシャク感がほとんどないこと。デュアルクラッチが苦手とするのがこの部分だ。VWのDSGには湿式の6速と乾式の7速があるが、乾式のDSGだとオイルを介さない分だけどうしてもギクシャク感が出がちになる。ボルボのパワーシフトは湿式であることもギクシャク感の解消につながっていると思う。
もちろん発進時や低速域だけでなく、加減速時の変速フィールも非常に洗練されていて、クルマに任せたままにしていてもスムーズにギアが切り替わっていく。パワーシフトがエンジンの性能を効率良く引き出すので、とても気持ち良く走れる。シフトレバーを操作して積極的にマニュアル操作を楽しむこともできる。