ミニ John Cooper Works 試乗レポート
実用車的性能を放棄してでも…
強い特徴をアピールすればそれだけで自ら顧客層を絞り込んでしまうので、個性の演出はほどほどに――すべての日本車を筆頭に世の“マスプロカー”の殆どは、そんなマーケティング戦略の下に生み出されたもの。が、そんな流れに思い切り反旗を翻したのがミニというブランドだ。中でも、さらに飛び切りスパイシーな個性を追求したのがこのJCW。それゆえに、ピンシャンとシャープな回頭感を示すハンドリングや始終飛び跳ねまくりのフットワークなど、“実用車”としての評価軸をあてはめるとたちまちあちらこちらでNGサインが踊る事になってしまうのがこのモデルとも言えそうだ。
けれども、そうした“問題点”すらも独自の個性へと変えてしまう事が出来るのが、『ミニ』のブランド力の高さというもの。そして、こうしたブランド力の高さを活用してさらに豊かな個性を演じるべく飛躍を遂げたのが、このJCWというモデルなのだ。「たかだか1.6リッターのハッチバック車」でありながらも360万円を超える価格は、さらにテスト車が装着していたオプション群を加えればたちまち400万円を大きく超える結果に。
が、そうした事柄すらも特にウイークポイントとは思えなくなってしまうのは、このモデルがもはや世界に冠たる“クラスレス”の商品である事の何よりの証明だろう。