疾風迅雷の凄まじい加速力

▲BMW M3 クーペ M DCT Drivelogic 試乗
▲M3 クーペ試乗	▲M3 クーペ試乗

　そんなDCTを採用のM3で走り始める。前述のようにブレーキペダルを緩めてもクリープ力が発生しない点が他社のDCT車とは異なるが、そこには“裏技”が存在する。実は、アクセルペダルを軽くクリックすると静かにトルクが立ち上がってクリープ力が発生。クルマはゆっくりと前進（もしくは後進）を始めるのだ。

　ニュートラル状態からいきなりアクセルを踏み込んでスタートしようとするとどうしてもわずかな駆動系のガタが気になるが、“クリープスタート”を行えばこうした点は全く目立たなくなる。すなわち、自らのポリシーは貫きつつも他社モデルに負けないコンフォート性もしっかりと実現したのが、このロジックというわけなのだ。

　アクセルペダルを深く踏み込んだ際の凄まじい加速力は、もちろんMT仕様と全く同等。加速データはMT仕様を上回るが、それはシフト時の“空走”が解消されたのと7速化によってギア比がよりクロス化した事による相乗効果だ。

　ちなみに、第7速ギアも多くの他社モデルのように極端に高い“燃費レシオ”には振られていない。これも「M3のDCT」ならではの大きな特徴という事になる。