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 一方、「シリーズ中でも人気のモデル」という、アウトバックの『2.5i』にも乗ってみた。

 2.5リッターの165psエンジンでは所詮加速はソコソコだろう…といった先入観を抱いて乗るためか、走り出しの瞬間の力強さはそんな予想と期待以上。感覚的には、アクセルペダルの踏み込み量が全ストロークの内の5割程度に留まる範囲であれば、「加速力には何らの不満も伴わない」というのがぼくの偽らざる実感だ。

 ただし、高速道路上で登坂車線が現れるようなシーンに遭遇をすると、さすがにちょっと物足りなさが顔を覗かせてきたりもする。「せめてATが5速仕様なら…」と無いものねだりの気持ちが生まれるのはこうした瞬間。そうは言っても270万円に満たないというその価格を知れば、そんな文句もたちまち消滅してしまうもの。何しろ、ちょっと腰高でグッとフェンダーを張り出したアウトバックのそのスタイリングは、なるほどベースとなったツーリングワゴンに対してもいかにも高いプレミアム感が漂うもの。ハッキリ言えば「もっとずっと高そうなクルマに見える」のが、このクルマのルックスでもある。


 そんな美味しいアウトバック2.5iのハンドリングの感覚は、高さがアップした分だけベースのツーリングワゴンとはまたちょっと違った印象。しかし、ステアリング操作に対する応答性は十分に「乗用車的」だし、乗り心地やノイズ面でも大きなハンディキャップを背負う事がないのは付け加えておきたい。ツーリングワゴンにするかアウトバックにするかは、あなた次第ということになる。

 ところで、そんな最新のレガシィ・シリーズには、冒頭述べた「300万台記念」の特別仕様車が4種類設定された。セダン/ワゴンの『2.0R B-スポーツ』と『2.0i B-スポーツ』、そしてワゴンの『GT-II』とアウトバックの『2.5i S-スタイル』がそれ。『GT-II』を除く3モデルは「NA(自然吸気)エンジン搭載のスポーティモデル」という位置づけで、本革巻きのステアリング・ホイールやシーケンシャル・モード付きのATを装備しつつ低価格を実現させたのが特徴。『GT-II』は『GT』をベースに装備の見直しを図り、やはりより幅広いユーザーに訴求するべく低価格を売り物としているのが特徴だ。

 というわけで、またまた進化の道を歩み始めたレガシィ。その歴代モデルがどれも高い人気を博してきた一因には、そんなたゆまぬ進化の姿勢もあるに違いない。
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text:河村康彦 Photo:小平寛
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