「おっ。207はちゃんとドライビングポジションが取れるぞ。」というのが、まず最初の感動だった。実は206はどうやっても日本人女子平均と思われる私の体格にはしっくりこなかったのである。さらにペダルの段差にも最後まで慣れることができなかったのだ。
ところが207はピッタリ適切なドライビングポジションが取れるのである。安全性といった面ではもちろんだが、自分の体にピタッとマッチするクルマというものは、やはり乗っていても気持ち良いものだ。もちろんペダルの段差も気にならなかった。
後方視界も、Cピラーは太いものの絶妙な角度に設定されているので悪くない。さらに今回の試乗車はグラスルーフ付き仕様だったので、開放感も満点である。この屋根、正確に言えば日本で言うところのサンルーフに属するものなのかもしれないが、かなりの大面積なので感覚的にはグラスルーフと呼ぶほうがピッタリな感じなのだ。
そんな気持ちよさからくる期待感いっぱいで走り出すと、その思いに応えてくれるかのようなエンジンフィールは元気いっぱい。このエンジンはBMWと共同開発されたもので、直噴1.6Lのツインスクロールターボチャージャー、可変バルブタイミング機構付き(VVT)という特徴をもったもの。スペック的には1598cc、110kW/5800rpm、240Nm/1400rpmだが、感覚的にはもう少し排気量の大きなエンジンに乗っているかのようなパワフルなフィーリングだ。1000rpm台からトルクをジワリと発揮してくれるタイプで、ガツンとしたパンチはないものの、高回転域まで気持ちよくスムーズに回ってくれるので、フランスのゴチャゴチャしているにもかかわらずハイスピードなカントリーロードでも、十二分に威力を発揮してくれた。
さらにそれを受け止める足回りが心地イイ。新開発のサスペンションは、まさに猫足といった感じでリアでググッと踏ん張りながらコーナリングしていく雰囲気。知らない道でも安心して入っていける感じなので、とにかくワクワクしながら楽しく走れてしまう。乗り心地的にも、205/45R17のタイヤを履いているとは思えないほどコンフォータブルで、路面の良し悪しは関係なく上手くいなしてくれる。おかげで、ロングドライブでもまったくの疲れ知らずだった。
それには、操作系の軽さもあるかもしれない。俗に輸入車は国産車と比べると操作系が重いと言われるが、ペダルのフィーリングもパワーステアリングも国産車並みに軽いのである。かといって、頼りなさを感じるほど軽いといったものではないので、輸入車は初めてといった日本人女性にも受け入れやすいのではないだろうか。パワーステアリングのフィーリングは多少センター付近で引っ掛かりがあったり、アシスト力のムラを感じることもあったので、日本仕様では改善を期待したいところだ。あえて弱点を挙げるとすると静粛性だろうか。会話に不便な周波数の音ではないものの、ロードノイズや風切り音はそこそこに入ってくる。しかし、207というカジュアルなクルマの性格を考えると納得できるレベルにはあるので、そんなに難要視するポイントではないだろう。
オシャレでカッコよくてワクワクさせてくれるコンパクトカー。来年の春、ブルーライオンが街を席巻するのは間違いなさそうだ。 |