ホンダ FCX クラリティ 試乗レポート
いい意味で感動を覚えなかったFCXクラリティ
今回のホンダFCXクラリティ試乗は、燃料電池車に自動車メーカー関係者を同乗させないはじめての運転となった。自分の好きなように自由に運転できたという点において、エンジン車の新車試乗とまったく変わらぬ条件で乗れたのであった。これは画期的だ。そして試乗をしているうちに、当初の興奮は冷め、感動は無かったというのが結論である。これは、否定的な意味でなく、皮肉な意味でもなく、おおいに褒めた評価である。 なぜなら、燃料電池車という90年代半ばに誕生した真新しいクルマが、すでにエンジン車の上級セダンと同じように何の不自然さも無く運転できたからである。つまり、ホンダFCXクラリティは、そのまま市販車としてユーザーの手に渡っても不思議でない完成度を備えつつあったということだ。
3年で200台というホンダFCXクラリティの製造台数は、エンジン車の新車生産に比べはるかに少ない。だが、燃料電池車が工場で流れ作業によって生産する世界初の試みであり、技術者に言わせれば「燃料電池スタックの1セルを何万セットもロボットで生産できるまでになった」と、手作りの段階を脱したことを示している。そして、「200台生産できれば、それは2,000台、20,000万台と拡大の道が拓ける」と藤本LPLは話す。
燃料電池車が当たり前の存在になってきているという手ごたえを掴む上で、ホンダFCXクラリティの試乗は大いに意義のあるものだった。